
最後は、春から初夏にかけて、スーパーや道の駅などに登場する山菜を三種、ご紹介します。
まずは「コシアブラ」。タラノキと同じウコギ科の樹木の新芽です。「タラノ芽が山菜の王様」なら、その透き通るような緑の美しさと気品ある香りから、コシアブラは「山菜の女王」と称されます。4月下旬から5月にかけて、開く前の筆のような若芽を収穫します。
昔は樹脂を絞って漆のような塗料(=漉し油)として利用していたことが名前の由来です。特有の強い香りと、後味に残る上品な苦味、そしてコクのある脂分を感じさせる濃厚な味わいが特徴です。
いただき方の王道は、天ぷら。高温の油を通すことで苦味が甘みに変わり、サクッとした食感とともに森の香りが鼻を抜けます。また、細かく刻んで塩揉みし、炊きたてのご飯に混ぜ込む「コシアブラ飯」は滋味深い活力源となります。

同じく若芽をいただく、この季節の山菜といえば「コゴミ」。正式名称を「クサソテツ」というシダ植物の若芽で、くるくると渦を巻いた愛らしい姿が特徴的。山菜には珍しく「アク」がほとんどないため、手軽に調理できる優等生です。
群生して自生するため、一度見つけるとたくさん収穫できることから「子をたくさん授かる」縁起物とされることも。見た目のとおりシャキシャキとした軽快な歯ごたえと、ほんのりとしたヌメリが持ち味です。
合う料理は、胡麻和えやマヨネーズ和え。サッと1分ほど茹でて冷水に浸せばOKです。クセがないため、どんな調味料にも馴染み、サラダ感覚で初夏の瑞々しさを堪能できます。

3つ目は「イタドリ」。道端や荒地など、どこにでも力強く自生するタデ科の多年草です。地域によっては「スカンポ」や「ゴンパチ」とも呼ばれます。初夏の頃、竹の子のように伸びてくる赤みを帯びた茎を食用にします。
漢字で「痛取」と書く通り、古くから痛み止めの薬草として利用されてきました。茎を折ると「ポコン」と小気味よい音がし、生のままかじると爽やかな酸味があるのが特徴です。
おすすめは、油炒めや煮物、甘酢漬け。皮を剥いてアク抜きをした後、豚肉などと一緒に油炒めにすると、ポリッとした竹の子のような食感が際立ち、酸味が最高の隠し味になります。冷やして食べる「甘酢漬け」すなわちピクルスも、初夏の火照った身体が喜ぶ一品です。
これら山菜は、旬を逃すと一気に成長し、食べ物としては不向きになるもの。直売所などで見かけたら、ぜひ手に取ってその日のうちに山の恵みをいただいてください。